キャライメージとして…

ウラヌス

ミランダ

の二人でお送りさせていただきます。


---愛してるって言いなさい！---

入籍してかれこれ二ヶ月目…
私は未だ、夫ことウラヌスから「愛してる」の一言を言ってもらっていない気がする。
性格上言わなさそうなのは分かってるけど、その一言が欲しいのが乙女心。
あまりこの歳で乙女心なんて言ってられないけれども。

出会ったのもかれこれ７,８年前。
プロポーズも出会って一年以内だったけど、その時も言ってくれなかった気が。
それから仕事も忙しくなって、目まぐるしく時間が流れ、やっと結婚…。

なのに、愛し合う男女として重要な一言を聞いてない。

そして私は今、仕事に出るウラヌスの為に、男のクセに私より長い彼の髪を結っている訳で。
シメに、テールの根元に一束の髪を巻く。

背後にてシャツから覗く、細い首に描かれている雄マークの様なタトゥーを眺めながら、若いカップルの様なことを聞いてみる。
「ウラヌスって私のこと愛してる？」
ついでに抱き付く。
「当たり前だよ」
眠そうに、邪魔そうに腰に回す手を解きながらそう言う。
寝起きもあって声が少し擦れてる。
昔はこんなのじゃなかったのに。
こうなってしまうと、もはやマンネリ化の進んだカップルだ。
当たり前だ、では、その欲しい一言を言ってくれたことにはカウントできない。
やっぱり、お望みの一言が欲しい。

そして何食わぬ様子で、ウラヌスは仕事に出て行った。

私も仕事があるので、その仕事の合間合間に過去を振り返ってみた。
最初は私が彼に興味が無かった。
彼も私を選んだ理由が不純で、私も、彼より彼の持っている富と名声に興味があった。
それがいつの間にか方向が変わって、本当に恋愛感情が湧いて…
結局わけが分からなくなってきた。
華奢で、どちらかというと女顔だし、男性的な魅力が在るわけでもなし…。
それでも、今は彼のことが好き。
どこが、と言われてしまっては困るけど。

今まで見てきた男と格段に違ったのが最大の魅力だったのかも。
最終的にそれに落ち着いた。

仕事が終わり、食事の準備をしていると、途中でウラヌスが帰ってきた。
お互い仕事上がりが遅いので、晩ご飯も一緒に食べることができる。
食事中も特に話が無く、無性に段々むくれて来た。
「ウラヌスって私に『愛してる』って言ったこと無いよね？」
つい、責める口調に。
これじゃ、まるで我が侭な女の子と一緒。
「何だいきなり」
当然戸惑う。
それからジトーッと嫌な空気になる。
「な、何か夫婦らしくないなぁって思って…
　愛し合う男女なら当たり前のセリフだし」
語尾につれて段々声が小さくなっていくのをウラヌスは不思議そうにする。
「珍しいな、お前がハキハキと喋らないとは。
　言われて見ると、言ってなかったような」
モノクルをつけているので、常に眉間にシワを寄せているけど、
更にシワを増やして、人差し指と中指を当てて考える仕草をした。
「…それを言えば、何なんだ？」
聞かれても、となるようなことを聞いてくる。
「愛されてる実感が持てるのよ。
　それで私は安心するの」
それでウラヌスは少なからず納得したご様子。
「そうか…。
　しかし、今言って良い雰囲気ではないだろ」
口直しに緑茶を啜っている。
「雰囲気って…そりゃーねぇ」
言い負かされた気分になったけど、ウラヌスの顔が戸惑うように少し赤くなったのが分かった。

愛してると言ってもらえるのは近そうです。
fin.


＋あとがき＋
ＳＳてこんな感じで良いのかしら。
相変わらず下書き無しの一発書き！恥ずかしい限りです。
お題見た途端この人たちでピンときたので、この人たちで書きました。
結局この話の間では一言もウラヌスは言いませんでしたが、
実は、妄想してた段階で、ウラヌスは愛してると言って、
ミランダに「そろそろ子供欲しいなぁ」と言われて、コーヒーを盛大に吹くって言うエンドも考えてました。
でも、書いているうちに、そういう風に終われそうにも無かったので、
こうなっちゃいました。
だからあとがきに書いちゃった。

…珍しく下ネタの無い話だった。